イギリスで最も偉大な女王、それは「エリザベス1世」だと言われています。
エリザベス1世は、稀に見る強運と度胸で魑魅魍魎のチューダー時代を生き抜き、「ゴールデン・エイジ(The Golden Age)」と呼ばれる一時代を築いた凄腕女王です。海洋に進出し、今日の大英帝国の礎を作ったのは彼女です。

ローマ・カソリック教会、数々の暗殺計画、戦争、世界最強スペインの連合艦隊アルマーダ、命を狙う異母兄弟姉妹、彼女と結婚してキングの座を狙おうとする下心のある男たち、、、、どんな敵・困難・逆境にも打ち勝ちました。
今日のイギリスを見ると、エリザベスがこれらの危険から生き延びたことは、すなわちイギリスが生き延びたということがわかります。
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エリザベスが育ったハットフィールド・パレス

そんなエリザベスがイギリスの女王となることを告げられた場所であり、女王として最初の仕事をした場所が、ここハートフォード・シャーにある「ハットフィールド・パレス <Hatfield Palace>」です。
ここはエリザベス女王が異母兄弟姉妹たちと子供時代を過ごした家でもあり、女王になった後もここからの統治を望んだほどお気に入りの場所でもあるのです。
隣にハットフィールド・ハウスがあるため、現在は「オールド・パレス」と名称変更されていますが、ここでは元々の名称「ハットフィールド・パレス」で書いていきたいと思います。
1538年、エリザベス1世の父ヘンリー8世は、3人の子供たちをよりよい環境で養育するために、このパレスをEly(イーリー)司教から買い取りナーサリーとしました。(現在残っているのは、当時のパレス全体の4分の1)
1538年と言えば、エリザベスの母アン・ブリン <Anne Boleyn>が処刑台に消えてからまだ2年しか経っていません。母アンが処刑された後、エリザベスは庶子(私生児)にされていました。
それにもかかわらず、ヘンリーはエリザベスと姉メアリー(庶子)を将来王になる弟エドワードと一緒に育て、最高の教育と住環境を与えたのです。なかなか良い父親ではないでしょうか?

年の近いエドワードとエリザベスは気が合い仲良しでした。ここハットフィールド・パレスで、エリザベスは楽しい子供時代を過ごしました。

二人が学習していたという部屋が残されています。
エリザベス1世はとても賢い少女で、フランス語、イタリア語、ラテン語など数か国語をマスターし、ラテン語で書かれた聖書を英訳したものを本として装丁し、父ヘンリー8世にプレゼントしたこともあると言われています。
実は異母姉メアリー1世に殺されかけていた
父ヘンリー8世の次に国王になった異母弟エドワード6世が死亡し(1553年)、姉メアリーが女王メアリー1世となると状況が変わってしまいました。(弟エドワードは9歳の時に即位、15歳で死亡)
それには宗教が関係していました。
ヘンリー8世は、2番目の妻アン・ブリン <Anne Boleyn>と何としても結婚(再婚)するため、離婚が不可能なカソリック教会から離脱し、プロテスタントのイギリス国教会を創設していました。アン・ブリンの娘であるエリザベスは、当然プロテスタントとして育っていました。
しかし、ヘンリー8世の前妻スペインの王女キャサリン・オブ・アラゴン <Katherine of Aragon>の娘であるメアリーは母と共に熱心なカソリック信者で、プロテスタントに改宗することはありませんでした。それどころが、自分と母を追い出した新教プロテスタントを激しく憎悪していました。

そんなカソリックのメアリーの統治下で、メアリー1世を暗殺してエリザベスを女王にしようとするトーマス・ワイアット <Sir Thomas Wyatt>らプロテスタント4人による陰謀計画が発覚しました。(1554年)
エリザベスは関与を疑われロンドン塔に連行・収監されました。しかし彼女が事件に関与したという証拠は見つからず、のちに釈放され命拾いしました。
ワイアットは拷問を受けながらも、最後までエリザベスの関与を否定しました。処刑の際にも、エリザベスは一切関与していないとわざわざ言い残して処刑に臨みました。
メアリー1世は、やむを得ずエリザベスを釈放しなければならなかったのです。
釈放はされましたが、ここハットフィールド・パレスで幽閉の身(Under house arrest)となりました。姉メアリーとは宗教で対立する上に、女王と次期王位継承者という立場。メアリー1世にとってエリザベスの存在は、自分の命を危うくする最大の脅威となっていました。
オークの木の下で・・・

生き延びるため、姉に疑いをかけられないよう静かにハットフィールド・パレスで幽閉生活を送っていたエリザベスの元に、ある日ロンドンから使者がやって来ました。

1558年11月17日、ハットフィールド・パレス・ガーデンにあるオークの木の下で本(聖書とも)を読んでいたエリザベスは、ロンドンからやって来た使者にメアリーの死去を知らされました。そして同時に、自分が女王になったことを告げられました。
いつ何時、メアリーとメアリーの側近たちが反逆の罪で自分を捕らえ処刑するかもしれない、という命の保証のない生活から永遠に解放された瞬間でした。
このオークの木は「エリザベス・オーク」と呼ばれ、現在立っている木は「エリザベス2世」が植林した2代目です。チケット売り場を過ぎると、邸宅やパレスがある右手側には進まず、そのまま真っ直ぐ突き当りまでお庭を進みます。その後左に曲がってしばらく行くと「エリザベス・オーク」があります。徒歩15~20分くらいです。
|エリザベス女王誕生の瞬間は映画にも
エリザベスがハットフィールド・パレスで女王になった瞬間を描いた、ケイト・ブランシェット主演の「Elizabeth」(1998年)という映画があります。

エリザベス女王誕生エピソードには欠かせないハットフィールド・ハウスのオークの木のシーンが見られます☆
全映画の情報が、フォト、動画でまとめてあるこちらのサイトも◎⇩
私がよく利用するサイトです。写真や動画が多数提供されており、出演俳優のインタビューやBehind the Scenes(舞台裏)の映像なども見られます☆
是非ご覧になってみてください!
女王エリザベスが初スピーチを行ったのはココ!

ツアー・ガイドによると、エリザベスが女王となり最初にしたことは、最も信頼するアドバイザーだったウィリアム・セシルと統治方針について話し合うことでした。
そしてその話し合いは、この部屋で行われました。

エリザベスが女王としての最初のスピーチの内容を話し合ったこの部屋は、バンケティング・ホールのすぐ隣りにあり、現在はBarになっています。(バンケティング・ホールは結婚式場になっている)
エリザベスが子供時代にエドワードと共に学習した部屋は、この真上にあります。(外階段から上がることが出来ます。)


エリザベスの初めてスピーチはこのバンケティング・ホールで行われました。ここに当時の諸侯・貴族たちが集まってきました。統治方針についての細かな内容は、隣にいたウィリアム・セシルが女王に代わってスピーチしました。
ハットフィールド・パレスには、エリザベス時代の天井の梁や壁が今も残っています。
前述したように、ハットフィールド・パレスがお気に入りの女王は、ここからの統治を試みましたが、やはりロンドンに移動することにしました。それ以降、エリザベスがハットフィールドで過ごすことはなかったということです。
英国史に燦然と輝くパワフルで男前な統治を行った女王エリザベス。イギリスにGolden Age(黄金時代) をもたらしたエリザベス1世が女王として最初の一歩を踏み出したこの場所は、本当に歴史的に貴重な場所であり、エリザベス1世を尊敬する私としては必ず訪れたい建物でした。念願叶い、見学できて幸せです💗
ただ残念過ぎることも・・・。
ハットフィールド・パレスは、いまや完全に結婚式場と化しています。(コロナ前は確か結婚式場にはなっていなかったと思います。)現在、見学はガイド・ツアー付きで日程限定で行われています。ホームページが変わり、パンデミック前にはあったガイド・ツアー専用ページはなくなっていました。
その頃にHPで紹介されていて、実際に目で見ることを楽しみにしていたエリザベス時代の特徴あるレンガの壁面も、全体がタペストリーに覆われているので見ることができませんでした。
HPや見学の内容もどんどん変わっていくことを学んだ私は、最近ではスクリーン・ショットをとって残しておきたい情報や写真をとっておくようにしています。
パンデミック前に行けばよかった…と激しく後悔していますが、まだイギリスに来たばかりで…。ですが、500年前の建物であるハットフィールド・パレスは、縮小され馬小屋として使用されていたそうですから、見学できるように復元されただけも嬉しいです。1915年に、第4代公爵が復元したそうです。
Hatfield Park &Garden

ハットフィールド・パレス周辺のお庭はカントリー・サイドのマナーハウスのお庭のようで、手入れの良く行き届いた素晴らしいお庭です。
パレスからは外階段で、ハウスの方からはWest Gardenのゲートから庭園に入ることができます。

向こうに見えるハットフィールド・ハウスの見学と庭園は別料金です。
ここにあのエリザベス1世の有名な「虹の肖像画(The Rainbow Portrait)」が飾られています。⇩


清々しく、気持ちの良い空気が流れるハットフィールド・パレスのお庭。

Stone Frieze of Elizabeth Ⅰ

これも是非見たかった!!
ハットフィールド・パレスのお庭には、ロンドンのロイヤル・エクスチェンジにあったエリザベス1世と側近たちの石像があります。火事にあったためハットフィールド・パレスに移転されました。(1855)
身長が170cm以上あったと言われるエリザベス女王、周りの側近たちよりも背が高くて貫禄があります♡
これは必見です!ハットフィールド・パレスを訪れたら、お見逃しなく!

私が最も行きたい場所が、ロンドン・キングスクロスからたった25分で行けるのはとってもラッキー♪


パレス正面のフォーマル・ガーデンの他に、木のトンネルや噴水、日時計などなどがあり、ベンチも置いてあるお庭もあります。こちらでのんびり読書をする人などもいました。

あの煙突のある部屋が、エリザベスがエドワードと一緒にTutorに付いて勉強していた部屋です。

右の門を入ると、乗馬教室、レストラン、各種ショップなどがあります。
ジェラートのお店もあります。ここDARLISHのジェラートはすごーく美味しかったです🍧また食べたい♡

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★ハットフィールド・パレス(オールド・パレス)Hatfield Park Info.
https://www.hatfield-house.co.uk
☆ハットフィールド・パレスは、ガイド・ツアー付きで見学可能。(£6)(投稿時)
☆ロンドンからのアクセス良し。King’s Cross St. Pancras からGreat Northern Train で25分。
☆アドレス: Hatfield Park, Hatfield, AL9 5NQ, United Kingdom
Hatfield 駅で下車すると、ハットフィールド・ハウスは目の前という便利さ。
☆オープン時間は、HPで要チェック!