スペイン旅5日目の覚書です。
5日目は市内でのんびりショッピングをして過ごすことにしました。
そして、夜はバルセロナ最後の夜なので、夫がロンドンから予約しておいた新進気鋭の若手シェフによる星付きレストラン「Atempo」(ミシュラン★)でディナーを楽しみました。
Contents :
メニューは1つ、「テイスティング・メニュー」
私たちが行ったレストラン「Atempo」にはアラカルト・メニューやセットメニューがありません。ゲストにはあらかじめ決められた「テイスティング・メニュー」のみが提供されます。
この「テイスティング・メニュー」は、私たちの最近のお気に入りです。レストランが客に食してもらいたいお料理を次々と提供する「テイスティング・メニュー」は、シェフたちの自信作のオンパレードです。
自分たちでオーダーすると、だいたい毎回決まったもの、好きなものをオーダーしてしまいます。ですが、「テイスティング・メニュー」にすることで、普段選択肢に入らないようなお料理をコースの中で少しずつ試すことが出来、新しい発見と美味しさに出逢うことができるのです。
今回訪れた「A tempo」のテイスティング・メニューは、全部で何と17品!頑張って食べました。
レストラン「Atempo」 店構えは和風?

レストランは、滞在ホテルSixty twoから歩いて約20分のところにありました。街歩きを兼ね、食事前にちょうど良い運動です。
着いてお店の前まで来ると、???。何だか日本のレストランのような、とても和風な店構えです。ここは日本食レストランではないはずだけど、やっぱり今日本風を取り入れることはここバルセロナでもトレンディなのかな、と勝手に解釈。
タパス料理のお店が殆どで、外国料理店があまり見当たらないバルセロナではかなり個性的に攻めてます。
新進気鋭のハンサム&セレブリティ・シェフ Jordi cruz☆

このレストラン「Atempo」を率いるのはJordi cruzさんという若くてとってもハンサムなシェフ。
レストランのエントランスに、彼の書籍とミシュラン獲得を示すパネルが置いてありました。このレストランは、2023年と2024年連続で★を獲得しているようです。
あとで知りましたが、彼は他のレストラン(4,5軒ある)でもミシュランの★をいくつも獲得しているセレブリティ・シェフだそうです!
テーブルに着く前から始まる「テイスティング・メニュー」
|透明なのにガスパチョの味がする不思議なスープ

「ロック入りブラッディ・マリー・スタイルのガスパチョ・ウォーター」
さて、期待感にワクワクしながら入店すると、エントランスを過ぎたところから、もうゲストを楽しませる演出が待っていました。
すぐ左手からキッチンが始まり、そこでシェフが私たちをお出迎え(セレブリティ・シェフご当人ではない…)。早速1品目が始まりました。
ガスパチョと言えば、スペイン発祥のトマトと夏野菜の冷製スープです。通常赤いスープなのに、赤くありません。見た目は梅酒オン・ザ・ロックそのものです。でも味は全くもってガスパチョです。美味しすぎる~~☆☆☆
中に入っているロック(氷)はこのスープを凍らせたものなので、味が薄くならず、ゆっくり溶けていく間ずっと楽しめます。
ということで、グラスを持ったまま進みます。
|見た目は卵の黄身。実はムール貝!

「球状にしたムール貝とニンジンのピクルス」
出ました!自分では決してオーダーしないムール貝メインの一品。言われた通り一口でツルンっと頂くとあら美味しい♡
ムール貝を美味しいゼリーにしたような感じで、2,3個食べれそうでした。
このレストランは食材の形態を変えて楽しいサプライズを演出し、サイエンティフィックで遊び心溢れる料理を提供するタイプのレストランだな、とだんだん思い始めました。
|キャラメライズされたパンの中のマカロニとは

「キャラメライズされたパンに包まれたマカロニ、スパイスとバジルのクリーム」
ブレッド(パン)と書いてありましたが、どちらかといえば焼いたクレープのような薄くパリッとした生地の中に、スパイス&バジル風味のクリームで味付けされたマカロニが入っているフィンガー・フードです。
バジルの清涼感でさっぱりと頂けました。
そして、どうやらここまでが、コールド・フード(冷たいお料理)を調理するキッチンのようでした。
|アンダルシアン・スタイルのオイスター

「アンダルシアン・スタイルのオイスターとマッシュルームのコンソメ」
コールド・フード専用のキッチンを過ぎ、ホット・フードを調理するキッチンにやって来ました。
おっと、これまたあまり好きではない牡蛎のフライ(生牡蠣は大好物だけど)のようなものが用意されていました…。
スティック状になったオイスターはアンダルシアン・スタイルというそうです。
これに特製の自家製香味オイルを少し垂らしてくれました。そして言われた通りオイスターが口に入っている状態で、お隣りのマッシュルームのコンソメを口に注ぎます。
”牡蛎フライを食べた”感は全くしませんでした。濃厚なマッシュルームのコンソメのお陰で、苦手な味の部分が全く感じられませんでした。それよりもむしろ、フォアグラのソテー海鮮バージョン(???ちょっと意味不明かも)みたいな味に化けました。
サイエンスです🧪。
さて、前菜のお料理はこれで終わったようです。全部で4品頂きました。ガスパチョの氷が入ったグラスを持ったまま歩いてきましたが、いよいよテーブルに移動します。
メイン・ディッシュはテーブルで
さあテーブルに着席しました。
テーブルに着くと、ソムリエの女性がやって来て、テイスティング・メニューとワインのペアリングをお勧めされました。でも基本アルコールを飲むのは私だけ。しかも、以前テイスティング・メニューとワインとのペアリングをした時に、それほどアルコールに強いわけではない私は、もう最後の方は飲めなくなってしまいました。なので今回ペアリングはせず、でも夫も少し飲むというのでアルコール度数の低いワインを1本頼むことにしました。アルコール度数10度くらいのものにしましたが、それがあまり美味しくなく、12℃くらいでもっと美味しいものが飲みたかったなと後悔しました。ボトルで52€、もったいなかったです。グラスで頼めないのも残念でした。

そのソムリエの女性がこのレストランのお料理のコンセプトを話してくれました。すると、Atempoでは日本食からインスピレーションを受けた料理を提供しているとのことでした。
お店のインテリア・エクステリアの謎が解けました。
|オシェトラ・キャビアとノワゼ・バター

「ブラッシュ・ブレッドにノワゼ・バターとオシェトラ・キャビア(を添えて)」
さて、テーブルについて最初のお皿は、ブラッシュ・ブレッドと呼ばれる極々薄いクレープ生地をサクサクにしたようなものに、フランスのノワゼ・バターとロシア産のオシェトラ・キャビアを付けて頂くものでした。
ノワゼ・バターは、ヘーゼルナッツの香りのするバターです。フランスではお菓子作りによく使われるバターだそうです。塗りやすいよう少しホイップ状にしてありました。
オシェトラ・キャビアは、最も高価なキャビアのひとつで、調べてみるとフォートナム&メイソンでは100gで約£320(63,671円 執筆時)で販売されていました。これより価格が上回るのは同じくロシア産のベルーガ・キャビアくらいだそうです。
ここに添えられているのは10gくらい?だとすると£32(6,367円)‼
|海苔の香りのする泡

「日本産鮭と海苔のカニューレ」
出ました、The 日本です。この立派な鮭は日本産。ヨーロッパはノルウェー産の鮭が一般的で美味しいのですが、わざわざ日本から輸入したというところに妥協しない味への追求を感じますね。さすがミシュラン獲得です。もちろん天然の鮭で、昆布でしめてあり、とても美味しかったです。

この昆布でしめた鮭を、大豆で作ったプレートの上に乗せ、更に特殊な道具で製造された(鮭の向こうに見えている道具)泡が乗せられました。この泡がビックリです。海苔の味がするのです。海苔の風味がギューッと凝縮されていて、海苔以上に海苔。ノリノリです。ここは日本か、と錯覚を起こしそうになりました。
|Atempo特製オイルとサワドー・ブレッド

「3種類の何か(訳せない)で作ったAtempoオイルで食べる種入りサワドーブレッド」
イギリスのベーカリーでは、サワドー種で作ったサワドー・ブレッド(少し酸っぱいパン)が一般的ですが、スペインもうそうなのでしょうか。
香ばしく焼けた種入りサワドーブレッドをAtempoオイル(オリーブオイル)で食べました。しっかりと焼けたパンは、素朴で小麦の美味しさを味わえるパンでした。二切れ食べてしまうとお腹いっぱいになってしまうので、勿体ないけど一切れだけにしておきました。
|テーブルのデコレーションかと思ったら・・・

ずっとテーブルの端にあった塩の塊に赤く染色した塩で「Atempo」の文字が書かれたデコレーション。
実はこれがデコレーションではなかった。

Atempoでは、一品毎にシェフがやって来て、一皿一皿目の前でお料理を仕上げていきます。
デコレーションかと思っていた入れ物を手に取って、固まった塩をカチンと割ると中から塩漬けの海老が出てきました。

先ほどからガラスの耐熱器でグツグツと煮込んでいたスープはブイヤベースでした。
それを南部鉄器の急須に移し替え海老の上から注いでいきます。

「海老のブイヤベースと白エビのカルパッチョをのせた海老せんべい」
さっきのサイエンティフィックな泡の海苔に続いてこの海老せんべい。このシェフは一体どこまで日本食の研究をしているんだ、と思ってしまいました。日本の料亭で修業したことでもあるのかしら?と思うほど、完全に日本の味です。馴染みがありすぎて味には感動しないけど、他で感激…。
|タラのこの部位は貴重なの?

「タラのフィレとそのソース、グリルしたナバーラ産のアスパラガスとバスク産のピーマンのピクルスと共に」
タラはイギリスではフィッシュ&チップスに使われる定番の大きな魚。そのフィレ部分とはこんなに小さいのかと思うほど小さなポーションで出てきた8品目。親指の先ほどの大きさのフィレ部分が3つです。ソースもタラから作っているようです。
でもクリーミーでとろりとした食感は、フィッシュ&チップスの身離れのいいタラとは大違い。少しアンコウを食べているような…。タラのこの部分、貴重なのかな?
|シーフードは続くよ・・・

日本人って海の幸ばかり食べていると思っていませんか?て思うほどずーっとシーフードが続いていますが、お寿司と言えばサーモン、お魚は大抵タラかスズキで出来上がりはフィッシュ&チップスかグリルというイギリスの魚料理に飽きてきた私には、一品一品味のハーモニーが計算されつくした繊細なお味の一皿一皿がまるで日本で頂いているようで嬉しいのは確かです。
本当に毎回毎回シェフがテーブルまで来てくれて、お料理を説明しながら一品一品丁寧に仕上げていってくれます。しかも、つたないながらも英語で説明してくれます。
スペインには何度も遊びに来ていて、何を食べても失敗はしないのでスペイン人の舌には尊敬すら感じ始めています。ましてやここは、ミシュラン獲得店。次のお皿にも期待が膨らみます。

「海藻で蒸したハケ(メルルーサ)、ピルピルとアオサのクリスプ、緑豆とタラの胃袋と共に」
昆布締めの鮭、超海苔の泡に続いて海藻で蒸したハケ、ときました。「海藻で蒸す」という調理法は西洋料理に元からあるものなのでしょうか?それとも、ハンサム✨セレブリティ・シェフの日本料理研究の賜物なのでしょうか?
何でここで日本食食べてんだろう、ここまで日本ぽいお料理が提供されるとは予想してなくて、ここに来て若干戸惑い始める私。
日本ぽいお皿に盛りつけられたこのお料理にはアオサ(海苔)がクリスプされて乗っかってました。
|ガチョウとカボチャの組み合わせ◎

「ロイヤル・グース(ガチョウ)、黒ニンニクを乳化したものとローストしたカボチャのクリームと白ニンニクのソース」
シーフードが続いていましたが、サッパリしているわけではないところがやはり西洋料理という感じがします。そしてこれはいかにも西洋料理という感じの濃厚ソースでガチョウを頂きます。フレンチな感じです。
ガチョウとカボチャは合うんですね。かぼちゃのソースっていいかもしれない♡かぼちゃで作った葉っぱのデコレーションも美しい。黒ニンニクと白ニンニクが入っていますが、全く臭いはありません。焼き肉の網でニンニクをアルミフォイルに乗せてローストした時のように、軟らかくマイルドな味です。
|マグロのほほ肉とリゾット

こってりとしたマグロのほほ肉の登場です。
ワイングラスの中で何かをスモークさせている間に、お皿を仕上げていきます。

「マグロのほほ肉と大麦のリゾット、ラフロイグ・ウィスキーのフレイバーを付けた子牛肉のコンソメと共に」
最後に特製の自家製香味オイルを垂らして、胡麻?で作った葉っぱの飾りをのせて出来上がりです。
スモークさせていたワイングラスには、南部鉄器の急須から注がれたシイタケの抽出液が注がれました。今まで飲んだ中で一番濃い(色でお分かり)シイタケの出汁を飲みました。欧米人にとっては新しい味に違いありませんね。そして欧米人も美味しいと感じるんですね。
因みに、さっきから何度か登場している南部鉄器の急須はヨーロッパのトレンディ・アイテム。日本(またはアジア)とは全く関係ないところ、例えばアフタヌーン・ティなどでも見かけます。オリエンタルな雰囲気を演出する大人気アイテムです。ここA tempoは大いに日本食と関係ありなので、大活躍してますね。
|日本から輸入した本物の和牛ー!

鮭に続きこちらも日本から輸入した和牛です。ブランドはソムリエに聞いても答えられませんでしたが、A5ランクのお肉だそうです。
これはオプションだったのでまだ胃に余裕が有る夫だけオーダーしました。
霜降り具合が素晴らしく、口に入れると溶けてなくなってしまうようでもしっかりと旨味と満足感が得られる素晴らしい日本のお肉ですね。
これでメインディッシュは終了です。
何とここまで13品目もありました。今まで食べたテイスティングメニューの中で最大の品数でした。お腹が一杯でもうワインも飲めなくなりました…。
デザートあれこれ
|お口直しにはフォーム状のヨーグルトを

「ヨーグルトのフォーム。バジルとミントのソルベ、ライムとバタク胡椒のメレンゲ添え」
フォーム(やや固めの泡)状になったヨーグルトにバジル・ミント・ライム・胡椒とかなりさっぱり目の味が合わさって、スッキリと頂けるデザート。これまでかなり濃い目の味が続いたので、口の中が清涼感で満たされリセット。
|リンゴ3兄妹

「焼きリンゴ。塩味でトフィー状になったマカダミア・アイス、味噌ソルベとキャラメライズされたクランブルと共に。」「リンゴとカルダモンのカクテル」
お味噌のソルベを初めて頂きました。最近時々見かけます。食べてみるとあまりお味噌の味は主張していなくて、普通にアイスクリームやソルベなどのデザートとして美味しく食べられるんですね。新しい発見です。
リンゴとカルダモンの入った、またまた泡状になっている飲み物はカクテル。爽やかでとても美味しいです。
|お味噌に続いて茄子のアイスクリームも

「カカオ72%のクリーミーなチョコレートを黒ビール、ローストした茄子のアイスクリーム、ブラックオリーブ、リコリスと共に」
カカオ72%含有の良質なチョコレートでできたケーキに、ビールや茄子のアイスクリームが添えられた一皿。
私はもうお腹が満腹で味わうより少し食べるのが精いっぱい。普段からコースのデザートは食べれないのに、もうここまでに15品目頂いています。大変すぎる。。。
でも頑張って興味のあった茄子のアイスを味見すると、全然イケる味でした。茄子と言われなければ茄子とはわからない味ですが、甘党ではない私には野菜のアイスクリームはちょうどいいかもしれない、と。ジェラートのお店にあればピスタチオとMixしてもらうと相性良さそうです。
お味噌に茄子、次はどんなものがアイスクリームになるのでしょう。
|最後に口紅のケースに入っていたのは?

「4種の小さなお菓子」
さていよいよ最後のデザートが運ばれてきました。くり抜いた麺棒の中にメレンゲにゼリーにチョコレート、そして口紅のケースに入っていたのはラズベリー味のアイスでした。
食べ過ぎて、もう本当にお腹が張り裂けそうだったので、私はこの口紅だけ頂きました♡美味しかったです。
以上で「テイスティングメニュー」17品すべて完了です!
大変美味しく、目にも楽しく頂きました♡
このAtempoの「テイスティング・メニュー」は、ひとり150€(税別)。夫婦2人分、追加の和牛、ボトル・ワイン、ボトル・ウォーター、コーヒーで、お会計は税込み397.00€(66,352円執筆時)でした。
さて明日はいよいよ帰国(イギリスへ)です。チェックアウトを今夜のうちに済ませます。
次回は、スペインで立ち寄ったレストランをいくつかピックアップして記録しておこうと思います。フットボーラー御用達レストランで世界一美味しいパエリアを頂きました♡
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