ビクトリア時代に、コベント・ガーデン一帯の土地を所有するベッドフォード公爵夫人アンナ・マリア・ラッセルが始めたとされるのがアフタヌーン・ティです。
当時のイギリスは、産業革命が始まり、人々の生活がこれまでと一変して忙しくなっていました。それは貴族社会も同様で、晩餐の時間もどんどん遅くなり、夜9時10時くらいになることさえありました。ベッドフォード公爵夫人は、夕方になると空腹で気力が衰えてくるのを感じていました。毎日繰り返す空腹感に耐えかねた夫人は、召使に頼んで自室に紅茶とケーキやパンなどの軽食を用意してもらうことにしました。
侯爵夫人は、ケンジントン宮殿でビクトリア女王の侍女をしていました。夕方になると自室に戻って、ひとりで秘密の習慣を楽しんでいた夫人ですが、そのうち、部屋に宮廷の友人たちを招待して、一緒に楽しむことにしました。夕方4時頃の空腹がピークになる時間にちょっとしたものを食べて空腹をしのぐこの習慣は「アフタヌーン・ティ」と呼ばれるようになり、上流階級の間で流行しました。やがてそれが労働者階級の間にも広がって、夕方になると一旦仕事の手を休め、紅茶とビスケットなどをいただく習慣が定着しました。
本来は紅茶とフィンガーフード程度だったものですが、だんだんと品数が増えていきました。そして今では、「アフタヌーン・ティ」と言えば、専用の3段プレートに3種類の食べ物がのったものと紅茶の組み合わせになりました。一般に、最下段にサンドウィッチ、真ん中にスコーン、最上段に小さなケーキが2-3個が盛り付けられています。小腹を満たすどころか、満腹になってしまうボリュームです。
3段プレートに乗せただけで、数ポンドのサンドウィッチやスコーンが£70-80にもなるアフタヌーン・ティは、今やイギリスのドル箱ならぬポンド箱アクティビティにもなっています。どこに行っても見かけます。
そんなわけでニュース・フィードには、最新ランキング情報がしょっちゅう流れてきます。でもこのランキング、美味しさのランキングというよりもインテリアのインスタ映えとかNew comerだったりとかで選んでいるような気がしないでもありません。。。
ロンドンは、お食事は美味しいですが甘いものはイマイチ洗練されていないので、高いお金を払ってまでアフタヌーン・ティをしたいと思わなくなった今日この頃の私なのですが、まだ体験したことがないというお友達がいたので、ザ・ゴーリング以来のアフタヌーン・ティ(以下A.T. と表記します)に行ってきました。
|The beaumont
ランキングを参考に、当時1位だったボンド・ストリート駅近くのホテル「The beaumont(ザ・ボーモント)」に行くことになりました。
実は写真を見てあまり美味しそうではなかったので別のところに行きたかったのですが、ここがその時1位だったので行ってみることになりました。

ホテルのエントランスはこんな感じです。ロンドン市内のホテルにありがちな、こじんまりとしたスペースです。

A.T.がサービスされる部屋は、ホテルに入ってすぐの「Gatsby’s room」というところでした。
ギャツビーというだけあって、イギリスというよりもアメリカンなインテリアでした。うーん、不思議。
|紅茶を2種類選ぶ。
紅茶が2種類選べました。
私は、カフェイン控えめの「ホワイト・ティ」と、大好きな「アール・グレイ」にしました。
ホワイト・ティは<Organic white peony, yunnan Province, china>という<中国雲南省産の無農薬の白牡丹のお茶>でした。バラとグースベリーの清涼さを少し足してあるお茶のようです。スッキリと美味しいお茶でした。
|セイボリーのサンドウィッチが激ウマだった♡

さて、サンドウィッチとスコーンとケーキが運ばれてきました。
こちらのホテルのトレーは2段で、サンドウィッチは別のお皿でサーヴされました。

サンドウィッチは4種類。
まず上から、卵とウォータークレス。少しチリが入ってます。
2番目は、スモークサーモンとホースラディッシュ、それにレモン・バターが塗られたもの。Lexと書いてありました。
3番目は、スモークト・チキン・シーザー。熟成されたパルメザンに、ケールとアンチョビ入りです。
4番目は、ビーフ・パストラミ、ザワー・クラウト、スイス・チーズで、Reubenと書いてありました。
サンドウィッチのバラエティは素晴らしいです。A.T.の場合、具がきゅうり・ハム・卵という市販にも劣る具のサンドウィッチのことが多いので、この4種類のオリジナルなサンドウィッチは嬉しいサプライズです。
そのうえ、3番目のチキンのサンドウィッチが激ウマでビックリ!!でした。
私は、サンドウィッチはあまり好きじゃなくて普段は滅多に食べません。なので全然期待していませんでしたが、3番目を食べた時には、あまりの美味しさにサンドウィッチへの疑惑がどこかへすっ飛んで行きました。サンドウィッチ美味しい!と初めて思いました。
サンドウィッチをこんなにも美味しく作れるシェフがいるんですね。スモークト・チキンにパルメザンにケールとアンチョビの組み合わせなのは、食べても全くわかりませんが、とにかく美味しいです。単品で買えるものなら、家族にも食べさせたい!レシピも知りたいです。ロンドンを去る時が来たら、最後にもう一度食べたい一品です。私もお友達も、おかわりしました。(A.T.では、何故かサンドウィッチだけはおかわりができます。)
|スコーンより先にケーキを頂く。
そのあと、本来ならスコーンを食べる順番ですが、そうすると、お腹が膨らみ最後のケーキが食べられない、というのがいつものパターンです。
上段にはケーキが4つも乗っていました。なので、私はケーキを先に頂くことにしました。スコーン、残しても持って帰るのが簡単ですからね。最悪箱なしでも持って帰れます。それに前回のザ・ゴーリングの時のように、自分が残したケーキが箱に入っていないし数も少ない、なんていう状況にはもう遭遇したくないですからね…。
ということで、今回はケーキを先に、重たいもの→軽いものの順に頂きました。何とか頑張って4つとも平らげました。(あぁ、糖尿病が心配~💦←母が糖尿病)
ケーキは見た目で想像できる通り、味も普通の何でもないケーキでした。’芸術品のように繊細で美味しいケーキは日本で食べる’に限ります。
|スコーンをお持ち帰り
ケーキを食べると、案の定もうお腹が一杯になり、やはりスコーンは持ち帰りになりました。スコーンは、プレーンとレーズン入りがそれぞれ1人1つずつのはずなのですが、持ち帰り用に入れてもらった箱にはプレーンが2つ入っていました…。何でそうなるの?
写真を見た時、あまり美味しそうなスコーンではありませんでした。それもあって最初からスコーンは後回しにしようと思ってました。帰宅してから食べてみましたが、一口食べて止めてしまいました。(クロテット・クリームもジャムも入っていませんでした。)予想した通り、£1くらいのスコーンの味と食感でガッカリでした。(正直過ぎてスミマセン…)
ということで、残念ながらあまりエキサイトしない結果のA.T. でした。納得できる特別な美味しさだったのはチキン・サンドウィッチだけなので、一位の評価の意味が分かりかねます。金額は£70で、それに10数パーセントのサービス・チャージが加算されます。(トータル£80くらいだったかと。日本円だと14,800円くらい)
やっぱり、A.T. はコスパが悪いかな。あのチキン・サンドウィッチとアール・グレイで£10くらい払って食べた方が何倍も満足だ。。。以前はホテルのA.T.でも£25-35くらいだったA.T.も、今はどこも倍ぐらいの値段になっています。ランチやディナーよりもはるかに高いツーリスト向けの値段設定です。
The BeaumontのA.T.は、サンドウィッチと同じくらいスコーンやケーキにも力を入れていれば満足だったのですが、3拍子揃わないのがイギリスらしいっちゃイギリスらしい気がします。何でもどこかに手抜きがあります。質・量・価格すべてに満足いきそうなA.T. に出会ってみたいですね。
|アフタヌーン・ティ はイマイチだったけど・・・

A.T. はイマイチでしたが、他にイギリスの良きもの、伝統に出逢いました。
お手洗いには、五つ星ホテルらしくロイヤル・ワラントのついたハンド・ローションが置いてありました。英王室とチャールズ皇太子(の時)の2つのロイヤル・ワラントがついています。
これは「DR. HARRIS & CO. LTD」という薬局の商品で、お店はセント・ジェームス宮殿のすぐそばにあります。1790年のジョージ3世時代の薬局開業以来、この界隈に出没するジェントルマン階級、王族に使用されてきた老舗の薬局です。
このホテルで使用されていたのは「Almond」というシリーズです。アーモンドオイルが配合されたローションは、付けた瞬間肌に馴染むように軽くスーッと伸びます。ローズゼラニウム・シナモン・クローブのエッセンスが入っていて、つけるとふわっと気持ちが穏やかになるような上品で少し甘いアーモンドの香りが広がりました。
18世紀から営業している薬局ってすごくありませんか?日本は江戸時代、将軍は徳川家斉、老中は松平定信だった時代ですよ。
「DR. HARRIS & CO. LTD」の商品はどれも値段が高めですが、歴史好きな人や伝統のあるものが好きな人にプレゼントすると喜んでもらえると思います。
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info.
☆afternoon tea – the beaumont
☆chemists & perfumers – DR. HARRIS & CO. LTD
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