
多くの人にとってハンプトン・コート宮殿と言えば、すなわちヘンリー8世!
失脚しそうになった枢機卿トーマス・ウルジ―が、ヘンリーの機嫌取りにうっかり献上してしまったヘンリーの宮廷の影の最高権力者ウルジ―の元館です。
ヘンリー8世と言えば、1500年代チューダー王朝の人物ながら身長190cm近く、晩年にはウェスト130㎝、体重180㎏にまで膨らんだ超肥満体としても有名でした。
\暴飲暴食の果てに・・・/⇩
食べるの大好き大食漢のヘンリー8世は、ハンプトン・コート宮殿のキッチンを増築して巨大な「食べ物工場」を作りました。今日では「ヘンリー8世のキッチン」と呼ばれていて、ハンプトン・コート見学の必見スポットです。
いったい「ヘンリー8世のキッチン」はどんなものだったのか?まとめてみました。
Contents :
食事は1日2回、600人分を用意
「ヘンリー8世のキッチン」では、お肉やお魚をたっぷり使用したヘンリー好みの豪勢な料理を1日2回、召使やゲスト合計600人分が調理されていました。
スタッフの数は総勢200人。食事の時間は10:00と16:00(←悪くない。)でフル回転だったそうです。

ガイドブックによると、「ヘンリー8世のキッチン」は
■3つの食糧庫(食肉、鮮魚、ナッツ類など)
■各種ハウス(スパイス/ボイリング/ペストリー/ワインセラーx3)
■6つの炉
などで構成されていたそうです。今とほとんど変わらない豊富な食糧です。
宮殿周囲の食料を食べつくし食料が確保できなくなると、他宮殿を転々としたそうです。
マスター・カーペンターズ・コート

大量の食糧を積んだ荷車が宮殿左手にある門からマスター・カーペンターズ・コートにやって来ます。ここは、荷車がぐるりと回転できるよう十分なスペースが確保されています。
専用の通路を通って、食糧が次から次にこの石畳のコートヤードに運び込まれました。

そして、ここで「The Clerks of the Green Cloth(緑の服を着た役人)」という王室の会計係によってごまかしのないよう厳正に荷量がチェックされ、細かく記録されました。
ボイリング・ハウス(Boiling house)

ボイリング・ハウスは、その名の通り、ボイル(煮る)する部屋でした。
パイやロースト用にお肉が大鍋で煮込まれていました。
ローストにかかる時間と燃料の節約のために、先に煮込んで火を通していました。

煮込んだお肉をパイにするところ。”中にお肉が入ったパイ”はいまでもイギリスの代表的な料理です。
中でもステーキ・パイは、フィッシュ・アンド・チップスと並んで、パブには必ずある人気メニューの一つです。展示されているパイは今と同じ形です。味は違うと思いますが、原型はこの頃にできたのたのかもしれません。
フィッシュ・コート(Fish Court)

フィッシュ・コート(Fish Court) は、鮮魚も貯蔵できるいわば自然の冷蔵庫でした。
南北に延びる狭く日の当たらない石造りの貯蔵庫は、オープンエアになっていて、一日中ひんやりした状態を保つことができました。
よく考えられていますね。
大台所 The Great Kitchen

ここが「ヘンリー8世のキッチン」の一番の見どころです。
グレート・キッチンには、ヘンリー8世の肉好きがわかる巨大な炉があります。
焼き串に刺したお肉をぐるぐる回転させながら焼いていきます。ローストは時間とコストのかかる贅沢な調理法でしたが、ヘンリーが大好きなのだから仕方がない。ロースト担当は毎日汗だくだくになりながら、大量のお肉をローストしていました。この重労働にはご褒美があり、Ale(ビール)が飲み放題だったそうです。
一日中あちこちの炉に火がくべられているこの部屋はとても熱くなるので、熱気を逃がすよう天井がとても高くなっています。
久しぶりに宮殿に見学に行ったこの日、この部屋の大きなテーブルで10人ほどの東欧からの観光客が食事をしていました。少し前に、チューダー料理のデモンストレーションでもあったのかなぁと思っていたら、ただ自分たちのランチを広げて食べているだけでした!なんて非常識!!彼らの国のツアーガイドもいたから、確信犯ですね…。
2人の観光客につかまって話をしていた宮殿のガイドがようやく気が付き注意しましたが、その時はもうほとんど食べ終わっで席を立つところでした…。この2人も同じグループだったみたい.です..。

炉は大小合わせて6か所あります。19世紀に、炭火の炉やパン焼き用の炉などが追加されたそうです。
ワイン・セラー

ヘンリー8世の贅沢な食事にワインは欠かせませんでした。これらのワイン樽はヨーロッパ大陸から運ばれ、3つのワイン・セラーに貯蔵されていました。
ここでも展示物の樽に食べ物をのせて飲食する二人の東欧系中年女性を目撃…(~_~;)

これはヘンリー8世が設置した、ワイン・ファウンテン。ここからいつでもワインが飲めたそうです。スゴイ!

当時、安全な水を飲むことは難しく、イギリス人はエール(🍺ビール)を水の代わりに飲んでいました。そんな中、ハンプトン・コート宮殿の飲用水と調理用の水は、安全だったそうで、3マイル離れた水源からパイプで運んでくる技術もあったようです。素晴らしいですね👏
実はこのチューダー時代の水供給システム、ハンプトン・コート近くのゴルフ場の中にその一部が残されています。

ビールとエールもあり、それらはお隣りロンドンや南イングランドから運ばれてきていたそうです。
サーヴィング・ハッチ

出来上がったお料理は、サーヴィング・ハッチからグレート・ホールへと運ばれていきます。
食器類は階級によって区別されていたようです。ここにも係官がいて、出ていく料理の数を数え、持ち出した食器が全て戻ってくるかどうかを厳しくチェックされたそうです。
ホーン(角)ルーム

出来上がったお料理は、この階段を上がってホーン(角)ルームに運ばれてきます。召使たちは、グレート・ホールで給仕する前ここで待機していました。
このホーン・ルームには、とても興味深い絵が壁に掛けられていました。

「The Giant Porter」という絵で、ここに描かれた男性はライフ・サイズつまり等身大だそうです。190cm~2mくらいありそうです。
宮殿は兵士や門番、ポーターによって警備されていますが、彼らの中には明らかに任務のために作られた?人たちが存在したと絵の説明に書かれていました。
1500年代のチューダー時代、ヘンリー8世自身も身長が190㎝ほどあったそうですから、他に巨人がいてもおかしくはないですね。
エリザベス1世の統治時代、巨人の彼らは剣やマスケット銃用のスタンドなどを持って、宮殿の廊下のパトロールにあたっていたそうです。
ヘンリー8世の娘エリザベス1世も身長は推定170cm。当時の一般的な男性よりも背が高かった彼女は、警備に自分より体格の良い大きな男性を必要としたのかもしれませんね。
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★ハンプトン・コート宮殿(Hampton Court Palace) Info.
Hampton Court Palace | Historic Royal Palaces (hrp.org.uk)
☆ほぼ1年を通してオープン。オープン時間はHPで要チェック。
☆各線連結のWaterloo駅からHampton Court 駅まで直通一本で行けます。(約40分)
☆Hampton Court Palace, Surrey, KT8 9AU, United Kingdom